当面は主役となるセクタかもしれない。
はじめに
先週はダウは5日連続最高値更新といわゆるオールドエコノミー(オルエコ)が絶好調でした。一方でハイテクNASDAQはだだ下がりかと思いきや先週はプラスと思ったよりも耐え抜いています。
はたしてこのままセクタローテーションは続くのでしょうか? それともハイテクが再び盛り返すのか? ・・・残念ながら私にはさっぱり解りません。
ただ、VGT(情報技術)がポートフォリオの90%以上であるハイテク信者の私としてはやはり10年、20年の長期で見ればオルエコよりもイノベーションのあるハイテクの方が上昇していくと考えています。
だからハイテクが一時的に下がろうがそれは買い場でしか無い!・・・と言いたいのですが、最近の私は資産額が9000万円を超えたのでそろそろ早期リタイアを考えて少し守りに入りたいと思っているのですよね。
過去にはITバブルの崩壊で長期間ハイテクが落ち込んだ時期もありました。それを考えて今までの集中投資から分散投資に少しづつ切り替えていくつもりです。
という訳でセクタローテーションに対抗する目的でVFH(金融セクタETF)を少し買ってみました。今回はそんな話です。
VFHについて
VFH (Vanguard Financials Index Fund ETF) はバンガード社の金融セクタのETFです。
基本的な情報は以下。バンガード社なので経費率は十分安い。配当はやや高め。
- 銘柄数 約400社
- 経費率 0.10%
- 配当 2.01%
銘柄Top10は以下。JPモルガン、バフェットさん率いるバークシャー・ハサウェイ等、銀行、投資銀行、保険関連の企業が連なっています。ハイテクと異なり私にはあまり馴染みが無い企業ばかりですが、名前は聞いた事あるものばかりです。
直近のリターンです。やはりここが一番気になるところ。比較用にVGT(情報技術)とVOO(S&P500)も入れます。(青字が1位、赤字が最下位)
約半年前からVFH(金融)がVGT(情報技術)やVOO(S&P500)を上回っている事が解ります。まさに金融セクタにしてみれば我が世の春ですね。
VFH | VGT | VOO | |
YTD | 19.03% | 0.89% | 5.43% |
1M | 9.47% | -6.10% | -0.07% |
3M | 24.12% | 5.18% | 8.16% |
6M | 43.20% | 16.72% | 16.53% |
1Y | 69.56% | 78.88% | 56.41% |
5Y | 81.86% | 241.87% | 91.50% |
ちなみに金融セクタETFは他にもXLF(金融セレクト・セクター SPDRファンド)があります。銘柄数は約65社と少ないものの、概ねVFHと同じで成績です。私としては若干経費率が低いVFHをオススメします。
セクタローテーションで上がるセクタがどれ?
セクタローテーションと聞くとよく見るのがこんな図です。
しかし、私はこの図には懐疑的です。例えばコロナショックでは終始ハイテクが強かった。現在は金融とエネルギーが強い。結局のところ、どういったセクターが上がるのかは状況によりけりかと思っています。セクタの境界線も昔に比べると曖昧になってきていますしね。
VGT(情報技術)と他セクタの関連性
ハイテクが下落したときにはどのセクタが上がるのかを調べる為に、VGT(情報技術)と各セクタの2004年から現在までの相関係数を見てみます。
調べ方は色々有りますが、米国のyahoo financeから過去の株価をcsv形式で取得し、ExcelのCORREL関数から求めました。相関係数は値が1になるほど相関が強く、-1になるほど相関が弱い、つまり逆に動くと言えます。
名前 | 種類 | 相関係数 |
VDE | エネルギー | 0.03 |
VFH | 金融 | 0.83 |
VOX | 通信サービス | 0.86 |
VAW | 素材 | 0.90 |
VDC | 生活必需品 | 0.92 |
VIS | 資本財 | 0.93 |
VHT | ヘルスケア | 0.96 |
VPU | 公益事業 | 0.96 |
VCR | 一般消費財 | 0.97 |
こうして見るとVGT(情報技術)はVDE(エネルギー)以外と全て相関が強い。エネルギーの特殊性が際立っていますね。一応、VDE(エネルギー)を除くと一番相関が弱いのはVFH(金融)です。
ただ結局は株なので(エネルギー以外は)上がる時は皆上がるし、下がる時は皆下がるのでしょう。ハイテクが下がってオルエコが上がる今の状況の方が特殊なのかもしれません。
直近で上昇しているセクタ
現在上昇しているセクタを調べる為にバンガードの10セクタのETFの年初来の推移を見てみます。
はい、実は一番上昇しているのはVFH(金融)ではなく断トツでVDE(エネルギー)です。
ただ、個人的にはエネルギーが上昇しているのはセクタローテーションというよりもOPEC+の石油減産の影響等が大きいと考えています。つまり、エネルギーは経済よりも政治的な影響を受けやすい。
実際、エネルギーセクタは長期で見ても米国株の特徴である「右肩上がり」とは言えません。これをどう捉えるか、ですね。
私がVFHを買う理由
私はVGT(情報技術)に集中投資をしていたくらいなのでセクタETFの投資が好きです。現在はVGT(情報技術)をメインにしてサブにVCR(一般消費財)を買っています。
ここでさらに一つセクタローテーションに対するヘッジとしてセクタETFを買うのなら何が良いでしょう。エネルギーか?、金融か?
現時点では私はVFH(金融)を選びました。エネルギーも魅力的ですが、あくまでセクタローテーションに対するヘッジという意味でなら金融の方が良いと思っています。株式が全て下落するような暴落に対するヘッジとしては現金等で対応するつもりです。
エネルギーは先述の通り、特殊過ぎます。直近では大きく上昇していますが、長期だと成績はすこぶる悪い。今後クリーンエネルギーが台頭する事を考えると既存のエネルギーセクタは厳しいように思えます。長く持ちたいセクタとは言えません。
ただ金融も長期ではS&P500に負けている事は留意すべきです。将来性が有るとは言えず、ビル・ゲイツさんも「将来、今ある銀行は無くなる」といった事を述べていますね。ゆくゆくはフィンテックに置き換わっていくのでしょう。
冒頭でも述べましたが、長期の将来性という意味ではイノベーションのあるハイテクなのだろうと思っています。
VFH(金融)は今月の頭ぐらいから少しづつ購入を開始していますが、あくまでヘッジ目的であり、ポートフォリオでは10%も行かないつもり。あまり色々セクタを買い入れすぎると結局VOO(S&P500)とたいして変わらなくなりますし、やはりメインはVGT(情報技術)で変わらずです。
それにすでに金融セクタは大きく上がっていますので、いまさら大きく買い増しするのもなんですしね。もし本格的に買うのなら去年にやっておくべきでした。もし、再びハイテクのターンに戻ってきた時には今回の事を思い出して少し多めに買い増しておきたいですね。
おわりに
ハイテクのヘッジには何を買うべきか? 悩みましたが今回はオルエコの代表格の金融を選びました。
ただ、将来性も乏しくすでに株価が大きく上昇している事からあくまで少額の購入に留めています。どちらかと今すぐ買うというより、今後ハイテクが大きく上昇したら、ヘッジとして金融に資産を一部移動させておきたいという宣言みたいなものです。
これが正解かは解りませんが、当面の間はこの方針で行きたいと思います。
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