好調なときほどじっくり考えておきたい。
はじめに
米国株が好調です。そりゃもう怖いくらいに。
インフレ等への懸念で一時は下落したものの、現時点ではまだまだ上昇トレンドのように思えます。
もちろん非常に嬉しいのですが、浮かれすぎてもよくありません。こんな時こそ、リスクヘッジについて考えておきたいものですね。
ここで言うリスクヘッジとは「私のメインであるVGT(米国情報技術セクタ=ハイテク)が大きく下落した時の為に、何に資産を分散しておくべきか?」という話です。
似たような境遇の方が居ましたら参考になるかもしれません。
現在のポートフォリオと悩みごと
以下は現在の私のポートフォリオです。見ての通り、VGTが86%も占めています。
でもこれでも大分減らしたんですよ。去年までは95%以上がVGTでしたし。
お金を大きく増やすのなら、やはりオススメはハイテク株です。実際、私はVGTに集中投資する事で億り人になる事が出来ました。
しかし、億り人となり、早期リタイア(安定収入が無くなる)が近づいた事で私の中のリスク許容度は下がりつ、昔ほど「攻めの投資」が出来なくなってきています。その為、資産の一部を少しずつ分散させている最中です。
具体的にはVTI(米国株全体)と現金(円)を選択しているのですが、正直に言うと私自身もこれでの良いのかと頭を悩ましています。
私は投資的10年以上にもなりますがが、その大半が株式への集中投資だったので、実は分散投資には慣れていません。
安定したポートフォリオの例としては、株と債券の比率を6 : 4にするような基本的なものから、レイ・ダリオの全天候型ポートフォリオ、ハリー・マーコウィッツの現代ポートフォリオ理論等、色々あります。
しかし、これらは参考にはなるものの私に上手く当てはめるのは難しい。
今のVGTを大きく崩してしまうとそれだけで多額の税金が発生してしまいますし、私はなんだかんだいってハイテクが好きなので、ハイテクをメインとする基本方針は変えたくない。
また、私は可能な限り銘柄を少なくしたいという考えを持っており、分散の為とはいえ、多くの銘柄を持ちたく有りません。
とまあ、このようにあーだこーだと悩んでおり、ちょっと整理したいと思います。
米国ハイテク株のリスクと現時点の対応策
リスクヘッジというからにはまずリスクについて考えたいと思います。
米国ハイテク株のリスクはざっくりですが以下の3つです。
- ハイテク株のみ停滞するリスク (セクターローテーション)
- 米国のみ停滞するリスク (他の国々の台頭)
- 世界規模の不況のリスク (世界同時株安)
ハイテク株のみ停滞するリスク → VTI
ハイテク、グロース株が下落し、オルエコ、バリュー株が上昇と、いわゆるセクターローテーションと呼ばれる状態。
来年、米国の政策金利が上げれば、このような状態に陥るかもしれません。
対応策としてはオルエコの割合が多いセクタ、具体的にはVFH(金融セクタ)やVDE(エネルギーセクタ)、VDC(生活必需品セクタ)、VFH(ヘルスケアセクタ)。
VYF(高配当)やVTV(バリュー)といったETFも良さそうですね。
非常に悩みましたが、結局どれかに絞ることが出来ず、最終的にVTI(米国全体)を私は選択しました。
VGTは以下のように約90%がテクノロジーセクタです。
それと比較してVTIは以下のようにテクノロジーの割合が24%、つまり76%は他セクタ。
この76%に期待しています。下手に変な銘柄を選ぶより安定するはず。
それに本当にハイテクがオワコンになる時代が来たらポートフォリオを全部VTIにするプランも検討する事も出来ますしね。税金や手数料の為、銘柄を切り替える回数は少なければ少ないほど良い。
とはいえ、VTIは本当に「無難」であり、面白みは無きに等しいので、ときどきVTIを辞めて各セクタETFでバランスを取るようにしたいなーという誘惑にかられる事も。
特にVFH(金融) なんかは今後、金利が上がればより成長を期待できそうですしね。
現時点ではVTIを継続するつもりですが、どうしても我慢できなくなったら切り替えるかもしれません。
米国のみ停滞するリスク → 無し
米国が下落し、他の先進国や新興国が伸びている状態。今でこそ米国一強ですがかつてはそういう時代もありました。今後そのような時代が再びやって来るのかもしれません。
実際、バンガード社が向こう10年は米国株は他国よりもリターンが低くなるだろうというレポートを出しています。
https://advisors.vanguard.com/iwe/pdf/FAVEMOBF.pdf
上記での各リターンは米国全体は2.3%~4.3%、米国グロースは-0.6%~2.4%、新興国は3.6%~5.6%、米国除く先進国は5.2%~7.2%となっています。
これが本当なら、対抗策としてはVT(世界全体)、VXUS(除く米国)や、VWO(新興国)等が良いでしょう。
ただ個人的にはこのリスクはあまり考慮していません。よって、今のところは特に対策もしないつもりです。つまり、米国株オンリーでいきます。
VGTやVTIを保有しているくらいなのでバンガード社は好きなのですが、いかにバンガード社といえどもその予想は絶対ではありません。
「米国が衰退する事なんて絶対無い!」なんて事は言いませんが、その可能性に対して自身の貴重な資産を分けるほどでも無いと考えています。
米国経済が停滞すれば他国への影響が大きいので、米国より他国の方がリターンが高くなる事はそうそう起きないでしょうし、仮にそのような事態になったとしても、ハイテク企業の多くはグローバル企業の為、他の国々が伸びればそれに合わせてハイテク企業にも恩恵があると思っています。
実際どうなるかは解りませんが、私は保有銘柄をなるべく少なくシンプルにしたいので、こういった割り切りも必要だと感じています。
世界規模の不況 → 現金(円)
世界中で不況となる状態です。リーマンショック、直近ではコロナショック等。
対抗策としては株以外の資産、具体的に言うと現金、BND(債券)や、GLD(ゴールド)等のコモディティ、最近では仮想通貨もこれも当たりますかね。
一昔前は株のヘッジといえば債券が当たり前でしたが、利上げが予定されている現状では厳しいです。
ゴールドも同じで基本的に金利が上がる場合には伸びにくいと言われています。それでも本当に暴落が起きたら瞬間的に大きく上がりそうですが。
仮想通貨は株価が暴落時にどのように動くのか実績が乏しいので、まだなんとも言えませんね。一応コロナショック時には株価と一緒に下落していました。
米国は現在かつてないほど低金利状態である事に加えて、仮想通貨といったデジタルゴールドの進出により、債券やコモディティは今までの常識が通用しなさそうだと考えています。
ここは無難に現金を選択しました。
現金も円とドルがあります。今後は円安に向かう可能性が高そうですが、資産の大部分が米国株(ドル)なので、バランスをもたせる為に円を選択しています。
何より円だと管理が楽ですからね。そのまま生活費として使えますし、為替リスクも考える必要はありません。
数年後に利上げが終了したら、その時に改めてどうするかを考えるつもりです。
ヘッジの割合はどうするべきか
先述の通り、今のポートフォリオはVGTが86%に対して、VTIと現金は5%ずつと、まだまだ割合としては非常に少ないと言えます。
とはいえ、急激にポートフォリオを変えるのは宜しくないので、何年もかけて分散していくつもりです。
具体的には今後5年~10年をかけてVGT 40~50%、VTI(eMAXIS米株含む) 20~30%、現金 20~30% ぐらいを目指しています。
株式トータルで70~80%くらいは持っておきたい。やはり、私の基本は「攻めの投資」ですから。
正直、細かい割合はまだ流動的です。実際に早期リタイアの実施時期が決まれば、また変わってくると思います。
それもあって、分散投資への切り替えは少しずつ進めていくつもりです。
本当の悩み
しかし、正直なところ、私の本当の悩みはヘッジとして何を、どのくらいの割合で持つのかという事よりも「そもそもヘッジって必要なのか?」って事だったりするんですよね。特に今のように株価がイケイケドンドンの時は。
さすがに今年はVGTの勢いは落ちるかと思いましたが、結局VTIよりも年初来のリターンは上となっています。
ヘッジ云々に色々悩みましたが、結局VGTに集中投資を続けていた方が成績が良かった訳です。
まあ、あくまでリスクヘッジですからね。実際にセクターローテーションや暴落が起きないと損をする形になります。言う慣れば保険と同じです。それで利益を出そうというのが間違いなのでしょう。
昔と比べてリスク許容度が少し下がってしまった私としては、安心して夜ぐっすり眠る為の必要経費として考えた方が良さそうです。
ただ、ハイテク株の割合が減りすぎるとそれはそれで逆に不安になってくる。これからも自身の環境や心理状況に合わせて最適なポイントを見出していく必要がありますね。
おわりに
いかがでしょうか? あくまで私の考えになりますが、参考になれば幸いです。
今は株価も好調ですが、近いうちにまた大きな調整があってもおかしくは無いでしょう。
冒頭でも述べましたが、好調な時ほど自身の投資方針がリスク許容度にあっているか、しっかりと確認しておくべきかと思います。
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