TECL・・・お前は一体何者なんだ?
はじめに
せっかくのGWでお休みなので今まで疑問に思っていた事に手をつけてみようと思います。それが「TECLは本当にVGTの3倍で動いているのか?」です。
私はTECLではなくVGTを選びましたが、時々TECLの動向が気になる事があります。やはり3倍ってめちゃくちゃ魅力的ですから。いや、私は買いませんけどね。
TECLは今でも人気銘柄
コロナショックから株価はある程度戻りつつ状態ですが、TECLは相変わらず酷い状況です。2月19日から見てVGTが底値が-32%で現在-14%なのに対して、TECLは底値が-75%で現在-56%と未だに半値以下に値となっています。
にも関わらずSBI証券の米国ETF売買代金ランキング(4/27~5/1)ではTECLは6位に入っています。なお以前調べた時(2/24~2/28)ではなんと1位でした。
しかし、このTECL、奇妙な「謎」が存在します。
TECLの謎 本当の構成銘柄は?
その謎とはTECLの構成銘柄です。
最初に参考としてVGTの構成銘柄(yahoo financeより)を示しておきます。見て解るようにMicrosoftとAppleの2強です。
そしてTECLの構成銘柄なんですが、これがサイトによって書かれている内容が異なるんですよね。
まず公式サイト。これを見るとVGTと同様にMicrosoft、Appleの2強です。これだけ見るとVGTとTECLはほぼ同じ構成であり、TECLはVGTの約3倍で動くように見えます。なお、資料は2020/3/31のもののようです。
そして私がよく利用するYahoo finance見ると以下のようになっています。何故かTop2しか記載されておらず、XLK(テクノロジーセレクトセクタSPDRファンド)が48.25%を占めています。
さらにこのXLKの構成を見ると以下です。うん、これを見ると公式ページとほぼ一致します。どうもTECLの実態はXLKのようです。ただ残りの51.75%がなんなのか気になりますが・・・
そして問題のブルームバーグでは以下のように書かれています。
まず、DGCXXとFTIXXがトップに入っています。これらはなんと債券ETFです。さらにMicrosoftも3.69%とAppleが3.34%と公式ページやyahoo financeとも全然違う内容です。
そもそもTECL(テクノロジー)なのに債券がトップってどういうことなのさ! 看板に偽り有りですよ。
いったい何が正しいのでしょうか?
私の英語力不足によりはっきりした事はよく解らないのですが、現在TECLに債券が入っている事は確かなようです。3月中旬のサーキットブレーカー祭りでTECLが崩壊する事を防ぐ為に債券が急遽組み入れられた模様。
それでも公式ページに記載が無いのが不自然ですが。(私が気がついていないだけ?)
TECLの3倍は崩れたのか検証
構成が変わった事で3倍は崩れたのでしょうか?
実際はどう動いているのか検証したいと思います。条件は以下です。
- 2020/1/1から2020/5/3までの範囲で調べる。
- TECLの1日あたりの変化率に対してVGTとXLKの比率を調べる。
結果は以下です。
この結果を見る限り、概ね3倍で動いているものの、稀に大きくずれる事があるようです。
ただ、大きなずれが起きた日はほとんどがVGTの変化率が+-0.1~0.2%以内の日です。つまり、元の変化が小さすぎてTECLのレバレッジが上手くコントロールできなかったのかと。
恐らく3月17日あたりに債券が組み入れられたようなのですが、確かにその瞬間は多少はずれが出ているものの、その後の影響はあまり見られませんね。
しかし、債券を組み入れてどうやって3倍を維持しているのでしょう。私にはその仕組がいまいち理解できていません。TECLにはやはり謎が多いです。
とにかく、基本的にはTECLにVGTの3倍の値動きを期待している人はこれからもTECLを買い続けて良いのかな、と思います。ただし・・・
TECLの危険性を再認識せよ
冒頭にも記述したとおり、TECLは今回のコロナショックでは一時期は-75%まで下がり現時点でも-56%と駄目駄目です。レバレッジETFは暴落には非常に弱く、下落速度も3倍な上にさらに株価が復活しにくいという傾向があります。
例えばVGTとTECLの株価が最初に100だったとして、VGTが1日目に-10%、2日目に+10%となった場合、VGTは99ですが、TECLは91になってしまいます。
2018年末の暴落でもVGTは約6ヶ月で元値に戻りましたが、TECLは約9ヶ月かかりました。恐らく、より大きく値動きしたコロナショックではもっと差が出ると思います。
TECLは確かに上昇相場では高いパフォーマンスを期待できる時もありますが、扱う時は短期運用でちょっとでもまずいと思ったら即売却すべきです。扱いが難しく、はっきり言って本業とは別に片手間で投資をやっているような方にはとてもオススメ出来ません。
さらに言えばレバレッジETFはそのリスクの高さからSEC(米国証券取引委員会)等から危険視されており、実際に4月にDirextionのNUGT等のいくつかのETFが3倍から2倍に変更されています。
DirexionETF5銘柄のレバレッジ・名称変更について(4/1~)
TECLもいつ変更されるか、下手したら廃止されてもおかしくは無いでしょう。今回の急な債券組み入れもその危険性を現していると言えます。
既にTECLを売買されている方なら重々承知されている事でしょうが、ひょっとしたらその辺りを理解せずに単純にリターンだけに着目して突っ込んでいる方も居るかも知れないので改めて警告させて頂きました。
おわりに
私はやっぱりTECLが嫌いです。かつてVGTかTECLか悩んだ時期もありましたがやはり自分にはVGTが合っています。
ただTECLには抗いがたい魅力があるのも確かです。よって、こうやって時々「TECLってやっぱり駄目だな」と再認識するようにしています。
投資方針は人それぞれです。しかし、それでも昔に書いた記事のタイトルをもう一度言わせて下さい。
「TECLには手を出すな!」
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